イノベーションのジレンマ 増補改訂版:クレイトン・クリステンセン
Apr 14, 2015 · 1 minute read bookreviewclaython christensen
概要
なぜ優秀な企業が、その時々の経営判断が正しいように思われるのに、最終的には新興企業に破れるのかを解析した本。大企業が破れるかどうかは破壊的な技術が業界に生まれた時に対応できるかどうかに掛かっているが、大企業はその性質上破壊的な技術に対応するのが困難であり、新興企業はその規模や身軽さから破壊的な技術を取り入れやすいというもの。大企業が破壊的技術に時組めない(取り組まない)開発する技術力や発想がなかったのでなく、現在の顧客がよりシンプルな構造(顧客の求める性能に満たない)である破壊的技術の導入を求めなかったから。顧客の意見を無視するにしても、破壊的技術がもたらす市場は大企業にとっては魅力のないサイズであり、破壊的技術に経営資源を投入するよりも持続的技術に投入する方が会社の利益に直結する。大企業には一度築いたバリューネットワークが存在し、バリューネットワークの破壊的技術に参入することが難しくなる。つまり、イノベーションのジレンマは技術的な問題というより経営判断の問題であると言える。
破壊的な技術の導入とそれに対する持続的技術の開発に成功すると市場の要求や、以上に対する主要企業が移り変わりこのサイクルが繰り返される。
破壊的な技術と、優良大企業の性質は次のよう
破壊的技術
- 市場が求める進歩のペースは技術によって供給される進歩のペースよりも遅い。
- 製品の性能や品質がある程度まで向上した場合、製品のニーズが性能以外の評価軸に移る。
大企業
- 現在いる顧客にフォーカスして活動している
- 持続的技術の開発には最適な組織構造
- 破壊的技術の作る市場にたいして規模が大きすぎるため参入メリットがほとんど無い
大企業が破壊的技術に対応するにはその市場規模に組織のサイズを合わせる必要がある。それには「社内(社外)に破壊的技術用の別組織を構成」「破壊的技術に対応している企業を買収」といった方法がある。また自社によって顧客のニーズを向上させ、技術の開発ペースト合わせるといった方法もある(PC性能アップ->アプリケーションが大規模に->PC性能アップ…)。
浅い感想とか
今の会社がどの段階にいるのかをまず正確に理解する必要がある。開発しているのは持続的技術なのか破壊的技術なのか。そのあとに破壊的技術を持続させるリソースはあるのか、新しく来る破壊的技術への対応はどうなのかを戦略的に考えていく。ただ破壊的技術は市場がシフトしてしまうほどの変革が行われるので、どんな形であれ取り組まなければ生き残れない。